『誰にも負けない努力』(PHP研究所)
前回のメールでは、稲盛さんが
リーダーシップを発揮する上で最も重視した
「強い願望を持つこと」について説明しました。
今回は、この稲盛さんの考え方と
『7つの習慣』の著者であるコヴィー博士の思想に
どういった共通点があるのか、紐解いていきたいと思います。
稲盛さんはリーダーの仕事は「強い願望を持つこと」が重要だと
本書の冒頭で述べています。
ただ漠然と「こうなったら良い」と描くのではなく、
潜在意識に到達するほどの強い願望を持ちなさいと言います。
そして、その目標や理想を達成して自分がどう喜んでいるのかを
イメージできるくらい何度もシミュレーションすべし、と説きます。
では、この稲盛さんの考え方をコヴィー博士の思想から読み解くと
どうなるのでしょうか。
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稲盛さんの事例を
『7つの習慣』で読み解くと
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『7つの習慣』で考えるならばこれはまさに第2の習慣である
「終わりを思い描くことから始める」と繋がる考え方と言えます。
この習慣は「全てのものは二度作られる」という
原則に基づいている、とコヴィー博士は述べます。
第1の創造は「知的創造」であり
第2の創造は「物的創造」である。
どんな現実も成果も物事もそれを形作る前段階があると
コヴィー博士は説明するわけです。
まず、自分の頭の中で理想を考える
「第1の創造」があるからこそ
その理想が現実化する「第2の創造」が起こる。
つまり、稲盛さんが言う
「潜在意識に到達するほどの強い願望を持つ」とは
「徹底的に第1の創造を積み重ねること」と言い換えることができます。
理想を達成した時に自分や関係者が、
それを喜ぶの姿(win-win)を「第1の創造」を行う。
潜在意識に到達するほどの
強い願望=「第1の創造」を持つ。
このように意味が重なります。
さらに加えると、コヴィー博士は自らの著作
『第8の習慣』の中で、「リーダーシップ4つの役割」を説いています。
リーダーシップを発揮するためには
「4つの役割」を果たす必要がある、と
コヴィー博士は本書で説明しています。
4つの役割の1つ「方向性を示す」。
これこそが、稲盛さんの言う
潜在意識に到達するほど強い願望を持つ
ことと相通ずるものがあると言えます。
リーダーがビジョンを明確に打ち出し、
仲間や組織に対して方向性を明示する。
何を理想とし、何を実現するために
我々が仕事をするのかを明確にする。
これがコヴィー博士がいう
「方向性を示す」ことの内容です。
稲盛さんの言う「願望」とは
当然ながら「自分のエゴ」ではありません。
仲間のため、組織のため、さらには
顧客や社会のために、我々はどんな理想を描くか。
誰かのために貢献できる方向性を描くことが
「強い願望」を持つうえで重要だと
稲盛さんもはっきりとおっしゃっています。
7つの習慣アカデミー協会では引き続き、
『7つの習慣』の視点から稲盛経営哲学を
解析・解説する動画を配信してまいります。
これからの内容にも何か一つでも参考になれば幸いです。
■「稲盛和夫の誰にも負けない努力」vol.2
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。