今回のテーマは、稲盛和夫著『人を生かす』(日本経済新聞出版)です。
人材育成や、組織活性化など、「人材マネジメント」に関する内容がまとめられている一冊になります。
企業、組織を運営していく際に「チーム・ビルディング」は避けられないテーマです。
稲盛氏は、組織作り、チーム・ビルディングについて、本書ではこのように説明します。
立派な企業文化は、中小企業が伸びて行こうとする場合の根幹になります
中小企業は大企業と比べ、資金力や設備で劣る場合がほとんど。
だからこそ、中小企業は「企業文化」を醸成することに尽力すべき、と稲盛氏は説きます。
設備投資や財務状況といった目に見える部分に経営資源を投資する。
もちろん、これも大切なこと。
しかし、特に中小企業や創業間もない会社では「資金が必要なこと」あるいは「目に見える部分」で他社と競うのは極めて難しい、と稲盛氏は言います。
そうではなくて、企業の土台・根っこに当たる部分。
企業文化にエネルギーを注ぐことが大切だと本書では説いています。
稲盛氏が社員8人とともに、小さな町工場からスタートし、
京セラやKDDIといった世界的な大企業を創業していったことを考えると
説得力のあるお話ではないかと思います。
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稲盛さんの事例を『7つの習慣』で読み解くと
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現在は手持ちの資金がないにも関わらず、大きな投資が必要な部分に目を向ける。
これは、第一の創造(知的創造)の重要性や、自分がコントロールできる「関心の輪」に、意識を向けている状態だと言えます。
『7つの習慣』では、全てのものを創造するには、二度創造され、
第一の創造(知的創造)の重要性を解いています。
家やビルなどの建築物で例えると、第一の創造とは、設計図を描く段階。
この段階が、その後の全てに影響を与える重要な段階です。
第二の創造は、物的創造の段階。
具体的なアクションプランに落とし込み、文字通り、物理的に創造していく作業の段階。
そして、『7つの習慣』では、
自分が影響を及ぼせる、変化を起こすことができる「影響の輪」に意識を向けて
行動することを原則とします。
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稲盛和夫著『人を生かす』から学ぶ事例訓
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中小企業や創業間もない企業は、まず自分たちができることとして
「なぜこの会社があるのか」「どのように社会に貢献していくか」を明確にして、全員で共有する。
企業の使命と目的を明確にし、しっかりした企業文化を育て上げ従業員と意識を合わせること。
中小企業はここにこそ経営努力を注ぐべきである、と稲盛氏は言います。
経営理念を明確にし、それを浸透させていくことができれば
従業員は心から賛同して、会社発展のために自発的に行動する。
この「自発的なエネルギー」こそが、企業の財産であり、発展の源である。
稲盛氏はこう断言しておられます。
ただ理念を掲げるだけではなく、それを社員としっかり共有すること。
考え方のベクトルを合わせること。
これが、極めて重要だと述べています。
ちなみに、『7つの習慣』の「第2の習慣」
「終わりを思い描くことから始める」。
コヴィー博士も、個々人はもちろん
企業や組織のミッションステートメント、言わば「理念」を作ることを推奨しています。
原理原則を基としている、稲盛氏とコヴィー博士。
表現の仕方こそ違えど、言わんとする「本質」は同じだと感じます。
とは言え、企業理念を掲げても、それが従業員に浸透していかない、
なかなか伝わっていかない・・・とお悩みの経営者の方も多いかもしれません。
実は『人を生かす』の中で、稲盛氏はその課題についても様々な回答を出しています。
どういった回答を出しているか・・・。
これについては、次回の動画でご紹介していきます。
今回の動画は、こちらです。
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。