『考え方 人生・仕事の結果が変わる』(大和書房)
なぜ、稲盛さんは「考え方」を大切にされてきたのでしょうか。
稲盛さんは本書の中で、「人生の方程式」とも呼べる式を書かれています。
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
自分の人生を価値あるものにしたい、あるいは、仕事で結果を出したい。
そう思うのならば、イコールの右側を意識するべきだと稲盛さんは言うのです。
「考え方、熱意、そして能力」
これらの掛け合わせによって、人生や仕事の結果が変わってくるのです。
人生や仕事の結果を左右するものとして「能力」が挙げられていることは、どなたも異論はないでしょう。
しかし、稲盛さんは「能力」だけでは人生・仕事の結果は決まらないと言います。
同じ能力を持っている人であっても、目の前の仕事にどれだけ情熱を注げるか。
どれだけ熱意を持って取り組めるか。
それが人生・仕事の結果を決める大きな要因だと稲盛さんは言います。
そして、そこに「考え方」が関わってきます。
「考え方」はその人の思想、哲学であり、理念、信念、人間性とも置き換えられる。
稲盛さんはこのように解説されています。
そして、この3つのうち
「考え方」が最も重要な要素であり、
方程式の結果を大きく左右する、というのです。
なぜならば、「考え方」には、ー100点から+100点まで大きく幅があるから。
「熱意」や「能力」は0〜100の範囲。
しかし、考え方にはマイナスもあり得る。
そう稲盛さんは考えておられたのです。
そして、この方程式は「掛け算」です。
高い能力があり、熱意がみなぎっていても、考え方が0点であれば、全てゼロになる。
場合によっては、マイナスにすらなってしまう。
稲盛さんが言う「プラスの考え方」とは
例えば「正義」「公正」「公平」「努力」「謙虚」「正直」「博愛」といった言葉で表現されるものです。
こういった考え方、価値観があって、初めてポジティブな結果を出せる。
そして、こういった考え方は自分で選択できる、と稲盛さんは言います。
この方程式は大変有名な考え方で
聞いたことがある方も中にはいらっしゃるかもしれません。
そして、どういう「考え方」を選択するかは自分で決められる。
こうしたことを、稲盛さんはこの方程式を通じて伝えようとされているのだと思います。
能力より、熱意よりも「考え方」を重視する。
極めて稲盛さんらしい哲学だと言えるのではないでしょうか。
稲盛さんの語る「考え方」とは、「7つの習慣」では、「パラダイム」という言葉で語っているものと、同義です。
「7つの習慣」でも、「パラダイム」(考え方)が、最重要キーワードの一つです。
言葉こそ違えど、哲学の重要要素が全く同じですので、大変興味深いところです。
次回ご紹介する動画では
この「考え方」について「7つの習慣」の観点から更に深く読み解いていきます。
■「考え方」vol.1
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。