『JALの奇跡』(致知出版社)
JALの再建に際して、
この本には「二つの仕組みの導入」が極めて重要だったと記されています。
その仕組みとは、
「フィロソフィー」と「アメーバ経営」(理念と会計)だったそうです。
「フィロソフィー」とは
稲盛さんが経営において最も大切にされている経営哲学です。
稲盛さんはそれを伝わりやすく言語化し、
社員の方々と共有することを大変重視されていました。
一方の「アメーバ経営」は
小さなグループを社員自身が数字管理も含めて経営の意識を持って運営を行なっていく仕組みです。
「フィロソフィー」も「アメーバ経営」もそれだけで詳しく、膨大な説明ができますが
今回はこのくらいに留めておきます。
つまり、稲盛さんは
フィロソフィーという「理念」や「信念」
アメーバ経営という「会計」
この両方が経営においては重要だと考えておられたのです。
そして『7つの習慣』の著者であるコヴィー博士も、全く同じことを語っています。
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稲盛さんの事例を『7つの習慣』で読み解くと
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コヴィー博士は自身の著作『第8の習慣』の中で、こう説いています。
ノー・マージン、ノー・ミッション
コヴィー博士は自身の会社を立ち上げた際に
「利益なくして、使命なし」という現実に気付かされたと書いているのです。
会社のミッション、理念や使命がどれだけ素晴らしいものであったとしても
着実に利益を上げられなければ、
そのミッションや使命を果たす機会が失われてしまう、というのです。
一方で、ほとんどの企業では、利益や、四半期ごとの決算しか考えず、
事業を立ち上げた時に志したビジョンを見失ってしまう、と指摘します。
企業が生き残るためには、そして社会的貢献を果たしていくためには
明確なビジョンを持ち、使命を掲げ、その上で利益を追求しなくてはならない。
そのバランスがカギを握っている、とコヴィー博士は説明しています。
世界的ベストセラー作家という実績だけでなく、
世界最大級の研修会社を、一代で、世界展開された創業者という実績もあるコヴィー博士。
これはまさに、稲盛さんが経営において、大切にされていることと合致しています。
このバランスを大切にされたからこそ、
JALは予定を超えるスピードで再建を果たし、
また過去最高益を出すほどの成功を収めることができたとも言えるでしょう。
それでは、今回はここまで。
次回もまた、『JALの奇跡』から題材を取り上げた動画をご紹介します。
■「JALの奇跡」vol.3
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。