『JALの奇跡』(致知出版社)
JALの再建において、稲盛さんはもちろん、
『JALの奇跡』の著者であり稲盛さんの側近中の側近と言われた大田嘉仁さんらが中心となって
導入を進めた「フィロソフィー」。
これは、
一言で言うならば、会社をどうしていきたいのか、
その会社で働く社員たちに、人としてどう成長してほしいのか。
そういったことを言語化したものです。
JALの再建においては、その理念や哲学を
「JALフィロソフィー」としてまとめた小冊子を作成し、
この冊子を使って社内で勉強会を継続して行なったそうです。
JAL社員全員に対して、このフィロソフィーの浸透を図ったこと。
これこそがJALの再建において中核をなす、大きな仕組みの導入でした。
このJALフィロソフィーは二部構成になっていました。
第一部は、
JALという職場環境を通じて
社員一人ひとりに、どう成長してほしいか、どう人生を素晴らしいものに変えていくか。
第二部は、
社員が幸せになることに加え、互いに協力することで、
チームとして素晴らしい結果を出すためにどういう理念を持つべきか。
についてまとめたものになっていました。
実は、このJALフィロソフィーは
『7つの習慣』で紹介された「成長の連続体」と重なる部分が多々あるのです。
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稲盛さんの事例を『7つの習慣』で読み解くと
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『7つの習慣』において、著者であるコヴィー博士は、
人間の成長を3つの段階に分けて捉えています。
まずは「依存」。結果を他人に依存する状態。
次に「自立」。自分で成果を出せる状態。
「自立」は素晴らしいことですが、
コヴィー博士は「自立」が成長の最終段階であるとは言いません。
自立の先には「相互依存」という段階があり、
相乗効果のシナジーを創り出すことが、
「7つの習慣」の目的であることを、述べています。
自分以外の誰かとともに、相乗効果を発揮することで、
自分ひとりでは突破できない限界を超えていく状態です。
互いの個性や強みを活かし合い、
お互いの過去のデータベースにない「第3の案」(シナジー・相乗効果)を創り出していく状態です。
その状態をつくっていくことが、
「7つの習慣」すべての習慣の最終目的であると述べています。
JALフィロソフィーにおいては
第一部では社員個人の人生に焦点を当てます。
誰かがやってくれる、結果を出してくれる、という考え方ではなく、
自分自身が自立し、豊かで幸せな人生を送ることを目指そう、と。
しかし、それだけで終わらないのが、JALフィロソフィーです。
JALというチームで結果を出すためには、互いに協力し、強みを活かし合うこと。
一人では到底出し得ないような、創造的な結果を共に出すことを目指す。
それがJALフィロソフィーの第二部で説かれている部分だと言えます。
これはもう、まさにコヴィー博士がいう「相互依存」の段階に至るということ。
社員自身の成功、言わば「私的成功」を実現した先に、
チーム、あるいは会社としての「公的成功」がある、という考え方です。
ここでも、稲盛さんの経営哲学とコヴィー博士が考え方との間に共通点があると感じます。
動画の中では、理念やフィロソフィーを社内に浸透させていく上で
稲盛さんやコヴィー博士が特に重視したことも紹介しています。
ぜひ、動画もチェックしてみてください。
それでは、今回はここまで。
次回もまた、『JALの奇跡』から題材を取り上げた動画をご紹介します。
■「JALの奇跡」vol.4
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。