『誰にも負けない努力』(PHP研究所)
稲盛さんが言う「精神構造」。
コヴィー博士が言う「パラダイム」。
リーダーが物事をどういう意識で見て
どう捉えているのかが、メンバーに
大きな影響を与えている、というお話を
ここまでしてきました。
そして、その影響がメンバーの行動を左右し
その積み重ねが得られる結果・成果に繋がっていく。
こういったことを頭では理解できるけれど
気持ちが弱ってしまったり、
目標達成が厳しいと思ってしまう。
あるいは、部下の前で暗い表情をしてしまう・・・
という方もいらっしゃるのではないかと思います。
今回は、そういった方に向けた
コヴィー博士からのメッセージをお届けします。
これまで、稲盛さんの著作
『誰にも負けない努力』を通じて
リーダーに必要な考え方や
リーダーが目の前の出来事をどう捉えるかが
メンバーにも影響を与え、
さらには、チームの結果・成果を大きく左右する、という
お話を紹介してきました。
『7つの習慣』の著者であるコヴィー博士は
「自分のパラダイムに責任を持つ」という表現で
稲盛さんと同じことを語っておられます。
そして、コヴィー博士はリーダーにとって
最も重要なことは、
ビジョンやプランを明確にすることである、
と述べています。
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稲盛さんの事例を
『7つの習慣』で読み解くと
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コヴィー博士の著作『7つの習慣 ファミリー』の中で
飛行機の航路を例にして説明します。
飛行機は、出発地から目的地に至る途中、
約90%の時間は、予定の航路から外れている。
それでも目的地にたどり着けるのはなぜか。
それは「方向感覚」を持っているからだと言います。
進路がどこを目指しているかがわかっているから
予定の航路から外れたとしても、戻ることができる。
この事業を通じてどんなビジョンを実現するのかを
明確に描かないままにスタートしてしまうと
ちょっとしたことで方向性を見失ってしまい
取り組むべき優先順位があやふやになり
力が分散して望んだ成果が出なくなる、ということは
往々にして起こることです。
コヴィー博士は言います。
「希望は目的地にあるのではなく、
戻って来る能力にある」
ビジョンやプランを明確に描いておくことで
当初の航路からズレたとしても、戻って来ることができる。
これこそが重要だとコヴィー博士は言うのです。
そして「メンタリティが弱い」あるいは
「あきらめそうになる」というパラダイムで
物事を捉えているリーダーの皆さんがいるとしたら、
それが「悪い」のではない、とお伝えしたいのです。
もし、気持ちが弱ったりあきらめそうになった時は
「ビジョンを描く」ことに立ち返る。
それこそが、今抱えている重荷を凌駕し、超えていくヒントになる。
コヴィー博士は、そのように伝えています。
物事が上手く進まない時、予想外の出来事が起きて
心が折れてしまいそうな時ほど
「未来ビジョン」や「第一の創造」に立ち戻る。
これはまさに
稲盛さんが「潜在意識に染み渡るまで考える」と
説いたこととも繋がっていくことではないかと思います。
それでは、今回はここまで。
次回もまた稲盛経営哲学を
『7つの習慣』をガイドラインに紐解く
動画をご紹介していきます。
ぜひ、お楽しみに。
■「稲盛和夫の誰にも負けない努力」vol.5
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。