今回ご紹介する稲盛氏の著作は
『稲盛和夫の経営塾 Q&A 高収益企業のつくり方』
 (日経ビジネス人文庫)

企業を高収益化させるために必要な考え方や経営哲学とは何か。
そして、どんな実践が必要なのか?

今回は稲盛さんが考える「高収益企業の作り方」について解説した一冊を読み解いていきましょう。

 

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稲盛和夫著「高収益企業の作り方」
エッセンスの一部をご紹介
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今回ご紹介する『高収益企業の作り方』も、
前回までご紹介した『働き方』と同じく

稲盛さんが生前、主宰をされてきた「盛和塾」での経営者との
いわば「経営問答」を収録した内容です。

稲盛さんは最初に、「高収益企業」と呼べる基準について、本書で言及しています。

稲盛さん曰く、

事業を営む以上は最低10%の利益率を上げられないようでは経営のうちには入らない

と書かれています。

そして、「高収益」というからには、少なくとも15〜20%の利益率を上げている。
これが一つの基準になると説いています。

そして稲盛さんは、
どんな業種・業態であっても

商売の仕方を工夫し、懸命に努力すれば、10%以上の利益率は達成可能だと言うのです。

では、どうしたら高収益企業を作れるか。
収益を上げる原則とは何か。

稲盛さんは、こう言います。

事業を営む以上は最低10%の利益率を上げられないようでは経営のうちには入らない

 

当たり前じゃないか・・・と思われた方もいるかもしれません。

しかし、稲盛さんはこのキーワードを幾度となく語っておられるのです。

売り上げが増えれば、それに従って経費も増えていく。
これが経営の「常識」です。

しかし、収益を上げるには、その常識に囚われることなく

売り上げを最大にし、経費を最小にする
創意工夫を徹底的に行うこと、と稲盛さんは語るのです。

いわば、これは「パラダイムシフト」と言えます。

売り上げが上がれば経費も上がるという
「パラダイム」から抜け出すことが必要だと説いているのです。

さらに、稲盛さんは「値決めは経営」という言葉を遺しています。

 
「値段」とは、高過ぎれば、商品が売れないし、安過ぎれば、利益がなくなる。

稲盛さんは値決めについてこう言います。

「お客様が喜んでくださる一番高い値段で値決めをする」

「自分が満足する高い値段」ではありません。

お客様が喜んで買ってくださる最高の値段であり、それ以上高ければ、お客様が逃げてしまう。

そのギリギリのラインを「心血を注いで」決めるべきである、と稲盛さんは本書の中で説いていらっしゃいます。

 

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稲盛さんの事例を『7つの習慣』で読み解くと
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これは、「7つの習慣」に当てはめて考えるならば

第4の習慣「Win-Winを考える」という視点を感じます。

「7つの習慣」では、お互いにWin-Winになれる状況を目指していく。

それこそが人間関係を築いていく上で重要なことだとコヴィー博士は言います。

実は、この値決めについて、稲盛さんは同じような考え方を持っていらしたことを感じます。

値段が高すぎてお客様が損をするのでもなく安すぎて自分たちが経営を続けられない状況に陥ってしまうのでもなく。

まさにお互いが「Win-Win」の状態を目指すための値決めを行っていく。

こういった想いを、稲盛さんは「値決めは経営」という言葉に込められたのではないでしょうか。

高く売れれば良い、自分たちが得をすれば良い、ではない。

値決めにこそ、経営者の「人格」が現れる。稲盛さんは考えていたのかもしれません。

それでは、今回はここまで。
次回は引き続き『高収益企業の作り方』をテーマにした動画をご紹介します。

 

 

■「高収益企業の作り方」前編

一般社団法人「7つの習慣アカデミー協会」認定コンサルタント 廣瀬 公尚(ひろせ まさなお)

鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。

「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。

暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。

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