『従業員をやる気にさせる7つのカギ』(日本経済新聞出版社)
前回ご紹介した動画では組織の「ミッションを確立する」ことがどれだけ大切か、働く人のやる気に繋がるか
を、稲盛さん、コヴィー博士の言葉を通じてご紹介いたしました。
今回は、特にコヴィー博士が「組織のミッション作り」についてどのように語っているかをご紹介します。
それでは、詳しく見ていきましょう。
稲盛さんは当初、京セラ創業の目的を
「稲盛和夫の技術を世に問うため」と位置づけていたのだそうです。
稲盛さんが創業した会社ですから、
京セラのミッションが「自分の技術を世に問う」ことであっても成立しないわけではない、と言えます。
経営者、特に創業者は自分自身が取り組みたいこと、実現したい結果などが多々あるはずです。
人間ですから、自分の「我」や「欲求」が存在しないはずがありませんよね。
しかし、組織のミッション、企業理念がこうしたもので本当にいいのか。
稲盛さんは、従業員のやる気を引き出すカギとして「ミッションを確立する」を挙げています。
それはどんなミッションでも良いかと言えばそんなことはありません。
この点について、コヴィー博士の解説をご紹介したいと思います。
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稲盛さんの事例を『7つの習慣』で読み解くと
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ほとんどの企業は四半期ごとの決算のことしか考えていないために
事業を起こした時に志したビジョンを見失ってしまう。
コヴィー博士は自らの著作『第8の習慣』の中で、こう記しています。
目の前の結果、成果、業績を上げるために
使命感や、社会にどう貢献したいか、という元々の情熱を忘れてしまう。
そして、コヴィー博士が40年にわたって経営コンサルタントとして組織で行った仕事は
ほとんどがミッションを見失ったことで生じる様々な問題を解決することだった、とも言います。
では、企業においてはどのようなミッションを掲げるべきなのか。
コヴィー博士は
「個人と、組織のニーズ、両方を満たすミッション作りをすることが重要」
と解説しています。
稲盛さんは従業員のやる気を引き出すカギの一つに
「ミッションを確立すること」を挙げておられました。
コヴィー博士も、稲盛さんと同じく、
組織メンバーの力を解き放つカギは個人のニーズと組織のニーズが重なり合うミッション、ビジョン、価値を明確にすることであると述べているのです。
言い換えるならば「7つの習慣」で言う「公的成功・相互依存」の関係性を念頭に置いたミッションが必要ということになるでしょう。
< 重要なチェックポイント 2点 >
- 企業理念・事業目的(ミッション)や、チームの目標は、自分自身の志(本音の理想・本氣の情熱)と繋がったものになっているか。
- 従業員、株主、取引先、お客様など、皆さまの組織に関わる人々の豊かさや、生活の質向上に繋がるものになっているか。どれだけ共感し、どれだけ協力してもらえるものになっているか。
以上をチェックポイントとしてご活用ください。
■「従業員をやる気にさせる7つのカギ」vol.4
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。