『考え方 人生・仕事の結果が変わる』(大和書房)
まず、前回のおさらいをしましょう。
稲盛さんが考える「人生の方程式」。
それは、次の式で表されます。
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
どれだけ能力に恵まれていて、熱意あふれる仕事をしていたとしても
考え方が「マイナス」であれば、それはマイナス方向に働いてしまう。
能力や熱意にはゼロから100の幅があるが、考え方だけは「マイナス」もあり得る。
だからこそ、どういう人生観、人間観、哲学や信念を持つかが大切だと稲盛さんは考えていたのです。
では、この稲盛さんが言う「考え方」は、
「7つの習慣」では、「パラダイム」とよんでおり、「人格」を形成する要素です。
「7つの習慣」の最重要キーワードでもある、パラダイムや人格について、今回、掘り下げていきます。
稲盛経営哲学を深めるヒントになれば幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
稲盛さんの事例を『7つの習慣』で読み解くと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本語訳『7つの習慣』の副題は「人格主義の復活」です。
著者のコヴィー博士は
人生で成功する上でスキルやテクニック、能力を磨くべきだという考え方を「個性主義」と呼んでいます。
一方、誠意、誠実、謙虚、勇気、忍耐、勤勉、質素、節制といった稲盛さんがいう「プラスの考え方」、
人間性・人格を磨き、高めることで成功が手に入るという考え方を「人格主義」と説明しています。
もちろん、スキル・テクニックも、人間性・人格も両方あれば最高です。
しかし、スキル・テクニックを磨いて手に入れた「成功」は、あくまで「第二の偉大さ」であって、
その土台には「第一の偉大さ」が必要である、とコヴィー博士は説いています。
優れた人間性・人格という「第一の偉大さ」を磨き続けているからこそ
スキル・テクニックという「第二の偉大さ」が生きてくる。
コヴィー博士はこう述べているのです。
これはまさに、稲盛さんが語る「人生の方程式」と示していることは同じと言えるのではないでしょうか。
信頼という土台がなければ、成功は長続きしない。
基礎となる人格の素晴らしさがあって、初めてテクニックが生きてくる。
才能に対する社会的評価が高くとも
優れた人格を持つことを欠いている人は
多いものである、とコヴィー博士は言います。
稲盛さんもコヴィー博士も
能力やスキル・テクニックが「必要ない」とは全く言っておらず、
むしろ必要なものだと捉えています。
しかし、そこにばかり目を向けるのではなく
稲盛さんが言う「考え方」
コヴィー博士が言う「人格」を
しっかりと磨き続けることこそが、成功に近づくために必要なことだと説いています。
「考え方」「人格」こそが
自分が望む、もしくは望んだ以上の人生や仕事における結果を出すために
必要なファクターであるということです。
次回の投稿でも引き続き、
稲盛さんとコヴィー博士が共通して重要だと捉える「考え方」「人格」について、詳しく解説していきましょう。
ぜひ、次回の投稿もお楽しみに。
■「考え方」vol.2
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。