『活きる力』(プレジデント社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4833422441
<まえがきより抜粋>
現代の日本社会において人々が闘争心を育むのは難しい状況にあります。
よってせめて書物などで、ハングリー精神を学んでいくべきかと思います。
本書は鹿児島大学が開催したシンポジウムにおいて
私が学生向けに行った講演を再構成したものですが、
ミドルの皆様にも参考になるものです。
これからの日本を担うすべての日本人に再び「活きる力」を育む契機になれば幸いです。
稲盛さんは、
「人間の心は二つのものから成り立っている」と考えている、と本書で述べています。
一つは「利己的な心」。
自分だけが良ければいい、という欲望に満ちた心です。
この「利己的な心」と同時に、
私たちは他の人たちを助けてあげたい、皆に親切にしたい、という「利他的な心」を
人は必ず持っている、と稲盛さんは言います。
稲盛さんは、
人間が持つ「利己的な心」を決して否定することなく
「利己的な心」と「利他的な心」両方を持っているという前提の下、
この利他的な心を育てていこう、
それが最も大切だと伝えてくださっています。
そして、組織やチームを率いるリーダーは
エゴ、つまり自分を捨てて「全体のために」という
「利他の心」に基づいた想いに従わなければ
周りの人はついてこない、というのです。
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稲盛さんの事例を「7つの習慣」で読み解くと
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『7つの習慣』の著者であるコヴィー博士は
自身の著作『第8の習慣』の中で
「リーダーシップに必要な特質」を4つ、挙げています。
その4つの特質とは
「自制」「ビジョン」「情熱」「良心」。
この中の「良心」とは、稲盛さんの言う「利他的な心」に通じます。
コヴィー博士は『第8の習慣』の中で、「良心」とは「自己犠牲」であると説きます。
犠牲とは、より良いもの(より高い目的・大義・原則)のために、
良いもの(自己利益・エゴ)をあきらめることだ
しかし実は、自己犠牲を払う人の心には、犠牲を払っているという意識はない。
他人の目に犠牲と写っているだけだ。
このように、コヴィー博士は述べています。
この考え方は、まさに稲盛さんが言う「利他の心」に通じます。
人の成長は「依存」から「自立」、そして「相互依存」へ向かっていく。
これが、「7つの習慣」の考え方です。
「自立」から「相互依存」へとパラダイムシフトしていくためには、
コヴィー博士の言う「良心」「大義のための自己犠牲」、
稲盛さんが言う「利他的な心」が、必ず必要になります。
今回のご紹介はここまで。
次回は引き続き『活きる力』をテーマにした動画をご紹介します。
■「活きる力」前編
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。