『誰にも負けない努力』(PHP研究所)
会社のマネジメントをしている方
あるいは中間管理職としてチームを率いる
リーダーの方々を対象とした本である
『誰にも負けない努力』。
このタイトルにもある通り、稲盛さんは
マネジメントをしていく上で
欠かせない重要なポイントの一つに
「努力」があると考えておられました。
今回は、その「努力」についてのお話を
ご紹介していきます。
「会社経営がうまくいく」とは
あたかもヘリコプターが地上から浮いて
重力に反して上がっていっているようなもの。
稲盛さんは、本書の中でこう語っています。
ヘリコプターは常にプロペラを回していないと
重力に従って墜落し、ゼロになってしまう。
それが自然の摂理。だからこそ
必死に漕ぎ続ける以外にない、と稲盛さんは言います。
そして稲盛さんは
会社が安定している時こそ経営者・リーダーにとって
非常に危険なタイミングである、と言います。
安定して利益が出るようになると、安心して
努力を怠るようになる。
ですが、プロペラを回していないと
ヘリコプターが墜落してしまうのと同じように
経営においても安定し続けるためには
それ相応の努力が必要だと警鐘を鳴らすのです。
「成功した」と思うと
人は「この程度でいい」と慢心する。
そうすると、だんだんダメになって
会社が倒産してしまう、ということになる。
稲盛さんは「成功する」ところまで
努力することはもちろん大切です。
しかし、それ以上に経営が軌道に乗った後こそ
努力を積み重ねられるかどうかが
永続的に発展していけるかどうかの
大きな分岐点になる。
稲盛さんはこう考えられていたのです。
実は『7つの習慣』の中でコヴィー博士も
稲盛さんと同じことを書いているのです。
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稲盛さんの事例を
『7つの習慣』で読み解くと
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コヴィー博士は『7つの習慣』の中で
こう述べられています。
「第7の習慣は、刃を研ぐ時間をとることである。
成長の連続体の図では
第7の習慣が第1から第6までの習慣を取り囲んでいる」
さらに、第7の習慣は個人の成果を
生み出すための能力である。
あなたの最大の資産、
つまりあなた自身の価値を維持し
高めていく習慣である、とも書かれています。
目前の目標達成に向けて頑張ること。
これはもちろん大事なことです。
しかし、一時的な成功を収めても
それが長続きしないとすれば
自分自身を磨き続ける努力を
怠っているから・・・かもしれません。
自分を磨く努力を怠ってしまうと
自分が出せる成果や結果の質が落ちます。
『7つの習慣』には、木を切り倒すのに忙しく
ノコギリの刃を研ぐヒマがないという人の
例え話が登場します。
刃を研ぐことを怠る、言い換えれば
自分自身を磨く努力を怠ってしまうと
1年後、5年後、10年後と、永続的に
成果を出し続けることは難しくなっていく。
これは稲盛さんの言う
「重力に逆らって努力し続ける」ことに
通ずるものがあるのではないでしょうか。
それでは、今回はここまで。
次回は、稲盛さんがどのような
「努力」をすべきだと考えていたのかを
説明する動画をご紹介します。
ぜひ、お楽しみに。
■「稲盛和夫の誰にも負けない努力」vol.6
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。