中小企業や、創業間もない会社では
「企業文化の醸成」に力を入れるべき、と稲盛氏は説きます。
一方で、企業理念を掲げても、
それが従業員に浸透しないと悩む経営者の方々も多いのが実情。
この課題に、稲盛氏は本書『人を生かす』の中で回答しています。
今回ご紹介する『人を生かす』は
稲盛氏が生前に主宰されていた「盛和塾」塾生たちとのやり取りをまとめたものになっています。
稲盛氏は、経営理念を創ったけれど、
社員に全く浸透しない、次々に社員が辞めていく・・・
という経営者に対して、こう説いたと言います。
(前略)目の前にある小さな仕事をするわけですから、社員に対して
「私と苦楽をともにしてくれますか。その代わり私も一生懸命頑張って皆さんが幸せになるようにしてあげます」
と、せめてそう言わなければおそらく誰もついてこないと思うんです。
あなたの場合は自分の利益追求の正当性が得られて救われただけで、社員のためにという思いが、経営方針に全く入っていません。
かなり、手厳しい指摘です。
稲盛氏は経営理念を策定する際、注意すべき点として
理念は経営者のためだけにあるものではなく、社員のために作ることを挙げます。
「私がどんな会社を創りたい」よりも「私たちの会社が何を目指すのか」
経営者が「私たち」の意識をどれだけ持てるかが、経営理念浸透の大きなポイントになるのです。
さらに、経営方針を作る際には、社員と一緒になって策定するべし、と説いています。
みんなでこの方針を実現しよう、と社長も社員もみんな一緒になって「神輿を担ぐ」のだと言います。
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稲盛さんの事例を
『7つの習慣』で読み解くと
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これは、「7つの習慣」に当てはめて考えるならば
第4の習慣「Win-Winを考える」と言い換えられるでしょう。
コヴィー博士は、こうも言います。
組織のミッション・ステートメントが効果的であるためには、
その組織の内側から生まれたものでなければならない
参加なくして決意なし
こう『7つの習慣』の中でも力強く書かれています。
経営幹部だけではなく、組織の全員が意味ある形で作成のプロセスに参加する。
なぜなら、自分が参加していないものに打ち込む決意をする人などいないから、というのです。
社員の皆さんに、方針や目標の策定を任せ、一緒に達成に向けて取り組む。
こういう組織ができれば、それは「7つの習慣」が目指す「相互依存」の状態にあると言えるのではないでしょうか。
それでは、今回はここまで。
次回は、また別の書籍をテーマに取り上げた動画をご紹介します。
今回の動画は、こちらから。
■「人を生かす」
7つの習慣アカデミー協会では
引き続き、『7つの習慣』の視点から稲盛経営哲学を解析・解説する動画を配信してまいります。
ぜひ、これからの動画にもご期待ください。
鹿児島大学「稲盛アカデミー」で、生前の稲盛和夫氏から直接、指導を受ける。
その後、盛和塾所属経営者の人材育成研修会社で人材育成マネジメントに関するコンサルティング、コーチング、研修提供を10年以上担当する。
「7つの習慣アカデミー協会」代表理事・斎東亮完と出会い、法人研修講師、協会認定コンサルタントとしても活躍中。
暖かい人柄と、豊富な人材育成研修の経験から、管理職研修、新人研修などの階層別研修から、企業理念・教育制度・人事制度構築などをすすめる、「人づくり」の専門家です。